「さくらこまち」とは

土と環境を尊重し、保全する農法

それは、「安全」のためというより、むしろ「美味しさ」のため。
例えば、除草剤を使いすぎると、土は清潔にはなるが、やがて窒息してしまう。
何よりも憂うべきは、土が生物たちの住処で無くなってしまうことだ。
命の住みつかない土地で育った米が、旨いはずがない。
土は、生きている。
土の中にいる無数の生物たちが、土に空気を通し、水をしみ込ませて、地中からガスを逃してくれる。
これらの生物の存在は、お米を美味しくさせる最初の条件なのだ。

同様に、肥料も与え過ぎないのが原則だ。
必要な分だけ。あるいは、土が欲している分だけ・・。
最適なバランスを見極める。それがとても大切だ。

独創的な米

お米は、その味と香りで、自然と大地の恵みを表現している。
あるがままの自然を尊重し、人が介入しすぎないこと。
そして、土が持っている真実の価値を引き出してあげること・・
そうすれば、それぞれの土地から『個性的な米』が生まれる。
単に美味しいだけじゃない、本当にオリジナルな米が…。
こうして、この大地から「さくらこまち」が生まれた。

そして、その米は幻となった。

2人で始めた、小さな小さな農園。
昔ながらの農法にこだわり、水田にいる時間を大切にする。
すると必然的に収穫量には、限りがある。
「さくらこまち」は、多くは穫れない運命を背負って生まれた。

実りの秋。収穫とともに全ての米がお客様のもとに届けられる。
出荷は年に一度だけ。在庫なし。
春らしい名前なのに、秋にしか食べられないお米…。
いつしか「さくらこまち」に、『幻の』という冠が与えられた。